FIREという言葉が最近広まっています。
これは従来のリタイアとかセミリタイアと言われているものと何が違うのか、今回はその点を考えてみます。
FIREとは?
FIREは、 Financial Independence, Retire Early movement のそれぞれの単語の頭文字をとった造語で、日本語で言うと、「経済的独立と早期退職を目標とするライフスタイルを啓蒙するムーブメント」とのことです。(Wikipediaの"FIREムーブメント"からの引用)
この言葉の前半の「経済的独立」というのは、簡単に言うと働かなくても資産が減らない状態ということです。年間の生活費が300万円であれば、株の配当や家賃収入などの、いわゆる不労所得が年間300万円を超えれば、もはやサラリーマンとして働く必要がないということになりますね。
この言葉の後半の「早期退職」というのは「経済的独立」の結果です。
不労所得 > 生活費
という状態になっているわけですから、年齢に関係なく20代でも30代でも、これ以上働く必要はなく、もし120歳まで長生きした場合でも、お金の心配をする必要はなくなります。
伝統的リタイアとは?
これは私なりの定義になりますが、FIREではない伝統的リタイアというのは、老後の生活費は公的年金で賄うことを前提として、年金が支給されるまでの間の生活費分の資産を積み上げてからリタイアするという考え方になります。
私の場合であれば、リタイア後の毎月の生活費は20万円を想定しています。
(過去記事:「リタイア後の生活費試算:2021年9月」)
公的年金は70歳から受給する予定なので、50歳から70歳までの生活費、
20万円 × 12ヶ月 × 20年 = 4800万円
が準備できれば、リタイア可能ということになります。
もちろん計画通りに行かないリスクはありますので、あとは余裕をどこまで持つかです。
私の場合は、直近の試算では75歳の時点で5000万弱の資産が残る予定になっているので、
一応は200%以上の余裕率になっています。
(過去記事:「逃げ切り試算:2021年8月末」)
何が違うのか?
それでは、FIREと伝統的リタイアで何が違うかというと、FIREの方が資産(ストック)よりも収入(フロー)を重視する考え方と言えそうです。
FIREでは、資産の75%をアメリカ株式(個別株ではなくインデックス)、25%をアメリカ債券にすれば、インフレ調整後の利回りが5%台になるので、資産の4%は生活費として取り崩せるという前提になっています。
確かに、過去30年間のニューヨークダウ平均株価の推移を見ると右肩上がりです。
ただし、よく見ると2000年~2010年の10年間は下がっています。長期的に見れば上昇する可能性が高いのでしょうが、株価が停滞している時期でも株を売却して生活費を捻出しなければならないのはストレスかもしれません。
どうすべきか?
若くしてリタイアしたいというのであれば、FIREの考え方に準拠するしかないと思います。そもそも働いている年数が短いので十分な公的年金は期待できず、逆にリタイア後の年数は長いので、予想寿命までの生活費をすべて事前に積み上げるというのは大変です。株価に関しても、運用期間を長く取れるほど、期待した利回りに収束する可能性は高くなります。教科書通りにアメリカ株式75%+アメリカ債券25%というのではなく、日本株や新興国の株式を混ぜたり、不動産を組み入れたりしてポートフォリオをアレンジするのも良いかもしれません。
サラリーマンとして働いた期間がある程度あって、年齢も40代後半を過ぎているのであれば、伝統的リタイアの考え方がより安全かと思います。年金についてはいろいろな議論がありますが、一応は国がやっていることなので、支給額は多少変わることはあるにしても、まったくもらえなくなるという可能性は非常に低いはずです。年金をもらえないという前提でリタイア計画を立ててしまうと、その分だけリタイアが遅くなってしまうので、もったいないですね。
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