2025-03-03

リタイア後の再就職~退職の決断を振り返る

2021年の末にリタイアを決断してから3年が経ちました。
仕事の引継ぎが終わり次第、リタイア生活を始めるつもりでしたが、勤めていた会社から時短勤務の提案があり、1年ほど週2~3日勤務のセミリタイア生活を送った後、2023年の夏にフルリタイアに移行しました。

ところが、失業給付金をもらうための求職実績作りで始めた再就職活動で、なぜかやる気が出てきてしまって2024年1月から再就職することになり、しかしそれも長続きせず、1年2ヶ月で退職することになりました。

結果的に見れば、再就職は失敗でした。
もうサラリーマンとして働くことはありませんが、なぜもう一度働こうと思ったのか、なぜうまく行かなかったのかを振り返ってみます。

・金銭的不安

2023年のフルリタイア時点での資産額は約1億円でした。
生活費として月25万円使っていく前提でも、年金の受給やIDECOの取り崩しを考慮に入れれば、80歳時点で6000万円以上残る予定だったので、逃げ切り計画的には問題ありませんでした。

計算上は問題なくても、実際に給与収入が途絶えてしまうと、やはり不安になるものです。
当時は現金比率も37%で、今よりも高リスク資産に偏っていはいませんでしたが、それでも全体の半分弱は株と仮想通貨だったので、暴落したらどうしようという心配もありました。

・人的つながりの損失

コロナ禍以降、在宅勤務が普及したことで対面で仕事をする機会は減りましたが、それでも会社に所属していればリモート会議などで人との接点はありました。在職中は仕事の連絡が来ることが煩わしいと感じていても、いざ退職して、まったく何の連絡も来なくなると、自分が世間から取り残されているような気がして、寂しく感じるようになりました。

仕事以外で連絡を取り合う友人などもいないため、お店などで交わす必要最低限の会話以外は、誰とも話さないような生活が続きました。別に仕事でなくても、趣味などで新たな人間関係を作れば良かったのでしょうが、もともと社交的なタイプではなく、なかなかそういうことに気が進みませんでした。

・キャリアのやり残し感

2014年ぐらいからFIREの準備は進めていて、資産運用の勉強や実践にかなりエネルギーを注いで来たことから、仕事には全力を出し切れていませんでした。そのおかげで早めのリタイアに踏み切れるだけの資産形成ができたので、目標は達成できているのですが、その一方で、もっと真剣に仕事に取り組んでいたら、もっとうまくやれたのではないかという気持ちが心の底ではくすぶっていました。

リタイア後の求職活動では、昨今の人手不足という背景のおかげで思いの外、自分のことを高く評価してくれる会社があり、好条件のオファーもいくつかいただけました。働き次第では、さらなる昇給や役職を得られるチャンスもありそうでした。リタイアする前に、もう一度、自分の力を出し切って頑張ってみようという気になりました。

・モチベーションの衰退

残念ながら、モチベーションの高揚は長く続きませんでした。入社前に思い描いていた職務内容とは異なり、泥臭い仕事でコミュニケーション能力が求められました。それに加えて、長くプロジェクトにいる人が既得権益のような形で幅を利かせており、新メンバーの評判が良くなければすぐに更迭してしまうという職場文化でした。

どんな職場でも理想論だけで仕事が回っているわけではなく、多かれ少なかれ理不尽なことは存在します。それを乗り越えられるのは、「生きて行くためにお金が必要」という強いモチベーションなのだと思います。自分自身のやりがいとか、キャリアの総決算とか、そんな浮ついた気持ちだけでは、長く仕事を続けられませんでした。

・再就職はムダだったか?

金銭的な面では、間違いなくプラスでした。それなりに給料をもらえた上に、厚生年金の積み増しもできました。人的つながりという面では、またリセットです。以前に働いていた会社では、退職後でもたまに飲みに行くぐらいの関係性を維持できる人もいましたが、今回は誰もいません。時間的な面では、確実にマイナスです。残り少ない健康寿命をやりたくもない仕事に1年と2ヶ月も捧げてしまいました。

では再就職がムダだったのかというと、そうではないと思っています。再就職を通じて自分自身の能力の見極めができたことは有意義でした。もはや自分は有能な人材ではないし、有能であろうとする努力もできません。もし再就職をしなければ、自分はやればできる人間だという幻想を捨てきれず、さらに年をとって今よりも能力が落ちてから現実の壁に直面するか、最悪の場合、何かの詐欺に巻き込まれるリスクもあったかもしれません。

今後、軽くアルバイトのようなことはする可能性はありますが、職業人としての人生はこれで終わりました。仕事においては何も成し遂げなかった人間として、残された余生をなるべく楽しく生きてゆくようにするだけです。

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